今年は、自治会の役員をしている。
私の役目のひとつは、年末恒例の赤い羽根共同募金の集金。
住んでいるマンションが約60室ある。
実は、私、こういう営業が大の苦手。
サラリーマン時代に、飛び込み営業をした経験があるが、
大きなトラウマになった記憶しか残っていない。
ン年ぶりに、この様な役目が回って来て、
最初は、もちろん嫌で嫌で仕方なかった。
想像するだけでも、肩こりやめまいに悪寒、
自律神経失調症みたいな症状が出掛かる。
いつもなら、このまま放棄しかねないくらい、
腰が重いのだが、考え方を180°変えることにした。
「募金で救われる、心が落ち着く方が待ってるから、代わりに集めて届けるんだ」
人間不思議なもので、自分の欲から外れたことを始めると、
思いのほかスムーズに動けるもの。
肩こりや自律神経失調症みたいなものは、どこへやら(笑)
約1時間半かけて全戸をまわり、留守のお宅などいろいろあったが、
半分くらいの方が協力してくれた。
最後のお宅を回ったときに、そのお宅の玄関に、
おびただしい折り紙の鶴が飾ってあった。
千羽鶴みたいなものも所狭しとぶら下がっている。
「きれいですね~」って言ったら、
そこにひとりで住んでいるお婆様の表情も、
パッと明るくなった。
折り鶴は、昔からの趣味で、
時間があると黙々と折っているらしい。
他にも、前に住んでいたところ、亡くなった旦那様のこと、
昔していた仕事、得意だったその他の趣味のこと、
堰が切れたように、言葉が止まらない。
結局、1時間くらいお話をお伺いして、
帰りにいくつか折り鶴を頂いた。
最高のご褒美を頂いた、そんな様な気がした。