7.セロトニン神経の習性

▼目次

  1. セロトニン神経のメカニズム
  2. セロトニン神経は学習する
  3. セロトニン神経を鍛える
  4. 最低3ヶ月!?

 

前回は、「セロトニン神経」の役割について、
大きく4つあるとお話をしました。

A.姿勢の維持
B.痛みの軽減
C.自律神経のコントロール
D.平常心の維持

 

今回は、「セロトニン神経」の習性について話をします。

 

 

1.セロトニン神経のメカニズム

「脳内セロトニン」は、「セロトニン神経」によって、
放出されています。

 

放出するタイミングは
インパルス(刺激や信号の意味)の頻度に合わせて、
「一定のリズム」で行われています。

 

「一定のリズム」によって放出された「セロトニン」は、
各々の神経細胞にある「セロトニン受容体」と結びつき、
受け取った神経を興奮させたり、沈静させたりします。

 

放出された「セロトニン」の中で、受容体と結びつかなかったものは、
「セロトニントランスポーター」という運搬役によって、
元の「セロトニン神経」に戻されて、「リサイクル」されます。

 

 

2.セロトニン神経は学習する

 「セロトニン神経」は、自分の稼働状況を自分で点検して、
適正な状態を整える「自己点検回路」を備えています

 

自分が出している「セロトニン」が「受容体」と結びつく量を計測して、
それが足りないと判断すれば放出量を増やし、多いと思えば放出量を減らして、
コントロールをしています

 

ところが、身体が「ストレス」の刺激を受けて、
ストレス経路が働き出して、ストレス中枢の室傍核が刺激されると、
「セロトニン神経」のインパルスの頻度が低下します。

 

頻度が低下するということは、セロトニンの放出量も低下します。
すると、受けての神経は、セロトニンをたくさん受けなくては思い、
受容体の数を増やしていきます。
(供給<需要)

 

ただ、いくら受容体の数を増えたところで、
放出元の供給量がそのままなら、何も変化はありません

 

脳内のセロトニン濃度は低下したまま、
どんどんセロトニン神経の機能も低下します。

 

そして、ますますインパルスの頻度が低下して…という感じで、
悪循環にはまり、慢性的な脳内セロトニン不足になります

 

慢性的な脳内セロトニン不足は、脳の活動全体の機能も低下させ、
やがて「うつ」などの症状を引き起こすのです。

 

 

3.セロトニン神経を鍛える

「うつ」などの症状になってしまって、そこから回復したい場合、
対策としては「セロトニン神経」の働きを元に戻し、
セロトニンの放出量を増やすしか方法はありません

 

仮に精神科や心療内科で処方される「抗うつ薬」を飲んだとしても、
「セロトニン神経」の働きは元には戻りません
そもそも、その様な役割や効能を持っていないからです
(この話も後で詳しく話をします)

 

では、何をすればいいかと言うと、
毎日根気よくリハビリ・トレーニングをするのです。

 

リハビリやトレーニングという言葉を聞くと、
何かとても大変なイメージが浮かぶかもしれませんが、
何も体力の続く限りとか、限界まで汗をかいて…、
なんてことは必要ありません。
(この話も後で詳しく話をします)

 

とりあえず、セロトニン神経が活性化することを続けていくと、
徐々に働きが回復して、セロトニンの放出量も元のレベルに戻ります

 

 

4.最低3ヶ月!?

こうして、セロトニン神経を元に戻すためのトレーニングをする訳ですが、
実はすぐには結果が出ません。

 

結論から言えば、最低3ヶ月は必要です。

 

なぜ時間がかかるかと言うと、
セロトニン神経の「自己点検回路」の習性のせいです、

 

セロトニン神経の低下の悪循環が始まったときに増えた、
受け手の神経の「受容体」の数は、そのままになっています。

 

トレーニングによって、「セロトニン神経」のインパルスの頻度が高まり、
「セロトニン」が放出される量も増えるのですが、
その大部分が「受容体」と結びついてしまいます。

 

「自己点検回路」は、結びついた受容体の数で、
多い少ないをカウントしているので、
セロトニン濃度は満たされていると誤認をしてしまい、
なんと、セロトニン放出量を減らしてしまうのです。

 

なので、トレーニングを始めた頃には、
あまり自分の身体に大きな変化が現れません

 

それでも、少しずつ続けることによって、
セロトニン神経を活性化させていくと、
少しずつ受け手の「受容体」の数が減っていきます。

 

そうすると、結びつく「受容体」の絶対量が減っているおかげで、
「自己点検回路」は、セロトニンは足りていないと判断して
インパルスの頻度を高めて、放出量を増やします

 

放出量が増えることで、受け手の神経は、
いつでもセロトニンがあると認識し、
さらに「受容体」を減らして…と好循環が生まれてきます
(供給>需要)

 

この好循環が生まれ始まるまでに、
約3ヶ月という期間が必要なのです

 

こうして、セロトニン神経が回復して、
脳内セロトニン濃度も戻り、
身体活動も元の状態に復帰することができるのです。

 

次回は、「抗うつ薬」の本当の正体について、お話をします。

 

「健康コラム」
1.ストレスとは?
2.ストレスの良し悪し
3.ストレスの「見える化」
4.ストレスの種類
5.ストレスが伝わる経路
6.セロトニン神経の役割
7.セロトニン神経の習性 ←★いまココ

8.「抗うつ薬」は怖いのか?

9.セロトニン神経の活性方法(太陽)
10.セロトニン神経の活性方法(リズム運動)
11.セロトニン神経の活性方法(グルーミング)
12.【抗うつ薬】を勝手に止めてみた1
13.【抗うつ薬】を勝手に止めてみた2
14.【抗うつ薬】を勝手に止めてみた3
15.【抗うつ薬】を勝手に止めてみた4

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